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【最前線】生成AIの導入とヘッドハンターの役割変化
2025.06.13
企業向け

― “探す”から”見極める”へ。変わるサーチ業務の本質
「ChatGPTで人探しもできる時代なんですね」
最近、そう言われる機会が増えました。確かに、ChatGPTやLLM(大規模言語モデル)を使えば、候補者のプロフィールをざっと把握したり、スクリーニングの初期段階を効率化したりするのは簡単になりました。
でも、私がこの仕事をしていて強く思うのは、本当に変わったのは“ヘッドハンターって、そもそも何をする人なのか?”という問いに対する答えそのものなんです。
◆ 生成AIでできること、できないこと
弊社では、以下のような業務でAIを活用しています:
- 職務経歴書の要約とスコアリング(作業時間、体感で1/3に)
- 候補者に向けた初期スカウトメールのたたき台作成
- 企業文化に合いそうな人のマッチング(仮説出し)
使っていて本当に便利です。「やってくれるじゃんAI!」って思う場面もたくさんあります。
でも結局、「この人は、今の会社を離れてでも、新天地で何かを成し遂げたいのか?」という本質的な問いは、データやアルゴリズムじゃ答えられません。
◆ ハンターの役割は「営業」から「編集者」へ
昔は、とにかく人に電話をかけて、会って、口説いて、という“営業”要素が強かったと思います。
でも今は、AIが情報整理をしてくれる分、私たちの仕事は「この情報をどう届けるか」「どんな順番で、どんな表現で語るか」という、“編集者”のような役割にシフトしています。
そして候補者との対話も、「どんな実績があるか」より「これからどう生きたいのか」を深掘りする方向へと変わってきました。
未来を一緒に描く――そんな時間が、以前よりずっと増えたと感じています。
◆ 実体験:AIでできた“余白”が生んだもの
ある地方の上場企業からCOOポジションのご相談をいただいたときの話です。
AIを使って30名の候補者を瞬時にピックアップし、スカウト文もAIに下書きしてもらいました。
そこで浮いた時間で、私は候補者1人ひとりと「どう生きたいか」「どんな人生を子どもに見せたいか」といった、少し踏み込んだ話をしました。
その一人の候補者が言ってくれた言葉、今でも忘れられません。
「ここまで自分の“これから”に興味を持ってくれたのは、あなただけです」
AIが効率を生み、人間が“想い”を届ける。これが、いまの私たちの仕事のかたちだと思っています。
◆ 経営者が知っておくべき3つの変化
- 候補者は“人間らしい熱”を求めている
→ AI文章ではなく、経営者の想いが響く時代です。 - 候補者は“検索されている”ことを理解している
→ SNSや公開情報の整備が、信頼につながります。 - スピードと深さの両立が可能に
→ 時間をAIがつくり、人間が「深い対話」に注力できます。
▶ 最後に
生成AIの登場は、確かにこの業界に革命をもたらしました。
でも、だからこそ、「誰が、どんな思いで、どんな目で人を見ているか」がより問われる時代になったと思います。
私自身、テクノロジーを使いこなすことがゴールではないと常に思っています。
“その人の未来を応援したい”という気持ちが、私たちの仕事の出発点であり、最終地点です。
採用は、未来の編集です。
私たちは、その“編集者”として、これからも人と企業の未来をつないでいきます。

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