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【戦略提言】人的資本開示時代における「採用ブランディング戦略」
2025.06.05
企業向け

― 経営者が語るべき「採用ストーリー」とは?
「人的資本」という言葉が一般化し、企業の“人”に対する姿勢や考え方が、IRや採用広報の中でも重視される時代になりました。
中でも、私たちが注目しているのは、「採用ブランド=経営者の言葉」であるという事実です。
形式的な福利厚生や、空虚なミッション・ビジョンでは、ハイレイヤー人材の心は動きません。求職者が求めているのは、「この経営者のもとで働きたい」と感じられる“採用ストーリー”です。
本稿では、人的資本開示時代に求められる採用ブランディング戦略と、弊社が実務で実践しているアプローチをご紹介します。
1. 「人的資本経営」の関心は、経営者の言葉に集まる
人的資本に関する開示では、以下のような項目が注目されています:
- 組織の多様性(DE&I)
- 人材育成投資
- エンゲージメント指標
これらは数値化され、ステークホルダーに向けて開示されますが、実はハイレイヤー人材が注目しているのは「その背景にある経営者の哲学・姿勢」です。
弊社が支援したあるIPO準備中の企業では、社長の「経営幹部にも、仕事より家族を優先してもらいたい」という一言が求職者に強く刺さり、最終的に年収条件を超えて入社を決めた例がありました。
2. 採用ストーリーは“理念×実践”で作られる
経営理念やビジョンが語られることは多くありますが、それが現場と結びついていないと、候補者からは「きれいごと」と捉えられがちです。
ストーリーとして響くには、以下のような実践の裏付けが必要です:
- 「失敗を許す組織」と言いながら、実際に再チャレンジを許した具体例があるか?
- 「ダイバーシティ推進」と言うなら、役員構成の多様性があるか?
- 「若手に権限委譲」と言うなら、30代の役職者が存在しているか?
ある製造業では、「人材育成を重視している」との言葉に加え、実際に5年で営業から役員に抜擢された事例を開示資料に入れることで、候補者の共感と信頼を得ることができました。
3. 経営者は“採用現場”に出てくる時代へ
ハイレイヤー人材を採用する際、私たちは必ず経営者の面談を「採用コンテンツ」として活用します。
経営者が語るべきポイント:
- 「なぜこのポジションが今必要なのか」
- 「この会社の未来と、その中でのミッション」
- 「この会社で得られる成長とは何か」
特に、PEファンド投資先や成長中のスタートアップでは、「このフェーズを一緒に戦ってくれる仲間がほしい」という“人間味ある言葉”が、候補者の決断を後押ししています。
弊社では、経営者に動画メッセージを依頼することもあり、それをもとに採用ページや求人票を構成することで、応募数・面談参加率が大きく改善されました。
4. 採用ブランディング=「選ばれる企業」であるために
求職者にとって、企業の採用ページや求人票は“第一印象”です。
- 「この会社は、何に本気で取り組んでいるのか?」
- 「どんな価値観をもつ人たちが経営しているのか?」
- 「この会社で働くことで、自分は何を得られるのか?」
これらに明確な答えを出せる企業は、間違いなく“選ばれる”存在になります。
特に人的資本開示が義務化されつつある今、「数字」だけでなく「思想・背景・文化」まで語る力が企業のブランド力となります。
◆ 最後に
私たちは、単なる職務要件の整理や求人原稿の作成ではなく、「御社の採用ストーリーをどうつくるか」に注力しています。
“経営者の言葉が届く会社”こそが、人的資本時代において採用で勝てる会社です。
採用における経営者の立ち位置を、今一度見直してみませんか?

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